英文法なんて必要ない。そんな無責任な言葉を信じようとしていないですか? 3,000人以上の生徒さんを見てきて、英文法がわかっていないで英語が上達した人を私は1人も知りません。その理由と学習方法を解説します。

会話のための英文法は絶対に必要

僕は日本語の文法なんてさっぱりだけど、日本語をペラペラに喋れるよ
この認識は全く違います。
例えば、

私が毎日に英語を勉強はします。

この日本語文は不自然です。日本人なら誰でも、えっ!これは変だな、と感じるはずです。

私は毎日英語の勉強をします。

と修正することができるはずです。

多くの方は、どうしてそれが正しいのか、うまく説明はできません。でもこのおかしな日本語文を修正はできます。それは日本語の文法、ルールがあなたに感覚として身についているからです。あなたはそれをうまく説明できないだけです。

これまで3,000人上の生徒さんを見てきて、英文法がある程度理解できている人と、そうでない人との上達度の違いを、まざまざと見せつけられてきました。
それは一言で言うと、言わされる人と、自分で言う人 のです。
例をだして話しましょう。

今、あなたは私の生徒さんだと仮定して下さい。
そして、次のようなことが言いたかったとします。

「お母さんにピアノを習わせてくれるように頼んだ」
あなた:I asked my mother to take piano lessons.

その英文のおかしさを指摘して、私がその英文を次のように直しました。

私:No, no, no. I asked my mother to let me take piano lessons.

あなたに文法的知識があれば、ああ、なるほど、もちろんlet meがここに入らないとおかしいな。と理解し、あなたの知っている英文構造の知識に従って、その文をもう一度言い直そうとします。そこで、あなたは単に私に言われた通りに言うのではなく、自分でもう一度文を組み立て直すことをします。つまり自分の英語力で一から話そうとしているのです。ここで英語の定着が深まります。

文法的理解のないあなたならどうでしょう。
その場合のあなたは、単に言われた通りに言おうとするだけです。私の言ったことを頭に記憶し、その通りに言おうとするだけです。英文を作るのはあなたではありません。私です。あなたは私のロボットのようにオーム返しにいうだけですから、そこには何のトレーニングも起こりませんし、5分もすればすぐに忘れます。

この違いは、毎回毎回の一つ一つの英文で起こります。その積み重ねでできる差はものすごいものになります。

それだけでなく、1人で、英文のリピーティングをしたり、音読をしたりする場合も全てそうです。文法的知識がない人は、単に言葉の連続を記憶して言うだけです。ですから、ほとんど記憶力のトレーニングのようなものですね

しかし、言葉のルールを理解した人は、その言葉のルールに従って、英文を納得し、そのルールに従って自分で文を再構築していくようなやり方ができます。つまり、自分で話すのです。効果の差はあまりにも歴然としていますね。

では、どのように学習するかを説明する前に、英語の仕組みを理解し体得するとは、どう言うことかしっかり理解しましょう。あなたは学校の英文法のテストで良い点を取ることが目的ではないはずです。必ず、次の3つのステージを踏むことになります。

英文法習得の3つのステージ

1stステージ

英語の仕組み、言葉のルールを理解する
この段階では、まだあなたは理解しただけですから、スピードを求められる会話においてはしばしば間違いを犯します。そして考え考え、英文を作ります。ですから、話す速度もとても遅くなります。それで構いません。ただし、いつも自分の英語を監視する、もう1人の自分をいつも連れていてください。あなた自身があなたの英語を常に第三者的に見つめていることが大切です。そうすると、少しずつ自分で自分の間違いに気づくようになり、2nd ステージへと進めます。

2ndステージ

言葉のルールが理解でき、それに従って英文を構築することができるようになった段階です。間違いもあまり犯しませんし、犯しても、自分で修正することができます。ただ、やはりまだ言葉のルールを意識しながら話さなければならないので、スムーズさには欠けますし、ネイティブのようには話せません。正しい英文を数多く口にすることが大切です。

3rdステージ

目標とすべきステージです。間違った言葉の形や、間違った言葉の連続で英語を口にすると、違和感を感じて、正しい言葉の形や、正しい言葉の連続で英語を口にすることが自然で心地よく感じる。こうなるとあなたは考えなくても英語を話せるレベルになっているはずです。
簡単な例を出すと、

John don’t play golf. いや、Johnは3人称単数で時制は現在だから、
John doesn’t … としなければならない。

これは英語の仕組みを習得したとは言えません。

John don’t…
えっ!なんか変じゃん。
John doesn’t…
あっ、これならスッキリ

このレベルの習得を他の全ての文法事項で自分のものにして行く、それが本当の英文法の勉強であり、あなたの会話の助けとなる英文法の体得です。


英語の仕組みを身につけるための学習方法

どのように学習するか、分かりやすい英語を話すため、よりラクに英語を話すため、言葉のルールを語感として体得し、英文を口頭でただしく組み立てる英会話練習アプリを弊社では完成させました。ただこの教材は文法を一から理解するためのものではありません。英語力ゼロの状態から始めるための教材ではなく、中学高校となんとなく詰め込まれた文法知識が全く会話の役に立っていない多くの日本人英語学習者を鍛えなおすためのものです。文法を全くゼロの状態から学びたい方には、オススメの本があります。

1. テキストを使った学習方法

以下に紹介します。この本は全て英語で書かれていますが、分かりやすいイラストや、例文が豊富にあり、練習も充実しています。初級者用、中級者用、上級者用とありますが、とりあえず、初級者用から始めてください。一通りやったら、もう一度頭に戻って、すくなくとも、3ラウンドぐらいはやるようにしましょう。
以下の本です。

初級者用

Essential Grammar in Use (Cambridge University press が出版しています。必ず with answers を買ってください。値段はおそらく3000〜4000円くらい。大きな本屋さんの洋書コーナーなら置いているでしょう。インターネットでも買えるはずです。)

このテキストを購入されたら、次のように行ってください。(あるいはご自分がお持ちの別のテキストでも構いません。自分にあっていると思われたらそれがいいかもしれません。ただ、私は日本の高校生が使っているようなほとんどの英文法参考書はオススメしません。ほとんど文法を知るための、文法が出来る人を育てるためのテキストのようにしか見えないからです。皆さんが必要なのは英語を話す道具としての文法のテキストのはずです。英語を話すために英語の仕組みを学ぶ。この基本姿勢は崩さないでいただきたいです。

どのユニットも見開きで左が解説、右がexerciseとなっています。

  1. 解説は、もともと英語が分からない人を対象として作ったものですから、英語でかかれてはあっても、説明と言うよりは、例文や、絵、図でわかりやすく書いてあります。ここをしっかり読んで理解できる範囲で理解してください。
  2. 右のpageのexerciseをやってください。
    ただし、この exercise をやるときも、“自分は英語が話せるようになるためにこの練習問題をやっている、”そのことを忘れないで下さい。そうすれば、次のような無駄なことはしないはずです。
  • 問題番号をノートに丁寧に書き写す。
    選択問題だと例えば
    1. a 2. d 3. c
    等と、選択肢の番号やアルファベットを書いて、あとで答えあわせをする。
  • 正しい単語を選ぶ問題だと、
    1.at 2. with 3. for
    などと単語だけを書いて後で答え合わせをする。
  • いくつか単語を補って文を作る問題だと
    テキストを何度も見ながら、自分が補う単語以外はまるでテキストの英文を写すように一つ一つの単語を見ながら、一つ二つの単語を書いてはテキストを見、また書いてはテキストを見るというやり方で、文をノートに書く。

私は多くの高校生や大学生がこんなやり方でやっているのを見てきました。身につかないのは当然です。全く効果が無いとは言えないかもしれませんが、なんと意味の無い、無駄なエネルギーの使い方でしょう。
もう一度言います。
あなたは英語が話せるようになりたいはずです。
では、何が出来なければいけないのでしょう。
そうです。
全ての英単語を自分で発想し、決め、誰の力も借りず、自分だけの力で全文を作ることが出来なければ意味がありません。
そのために準備運動として単語選択や、穴埋め問題、正序列問題など、様々な問題をするはずです。私は次のようにしました。そして私以外の英語をマスターした多くの人も大体似た様なやり方です。
私の場合は書くのがめんどくさかったので書きませんでした。

穴埋めでも、選択問題でも、どんな問題でも、正しいと思ったら全文を自分の口で、テキストを見ないでつぶやきました。
自信の無いものは頭の中でこうなのではないかと思い描くにとどめました。
ある程度の数をやったら答えをみて、確認し、(別に書かなくても、自分の答えと言うものは大体覚えているものです。皆さんも学校のテストの後、友達と答えあわせをしたことがあるでしょう。不思議なくらい覚えています。)間違ったもの、出来なかったものは、確かにそうだと納得したら、それが自分に自然に感じるように何度もぶつぶつ口に出して言いました。正しい英語を自分の脳に浸み込ませ、間違った認識を追い出すような意識でやりました。

どうしても書きたい方は書いてもいいですが、次のようにしてください。
基本的には上に紹介したやり方と同じなのですが、決して写さない。 

きれいなノートを作りたいわけではないはずです
問題の番号などを書く必要も無いでしょう。答えを確認するさい、わかりにくくなるということであれば書いてもいいでしょうが、なるべく意味の無いことに自分の手を疲れさせないことですね。
そして、どんな問題でも英文全体を書きましょう。穴埋めでも、単語選択でも、どんな問題でもです。単語を一つノートに書いても、何の意味もありません。文全体を書いて初めて意味があります。
そして文を書き始めたら、一文全部書き終わるまで、決してテキストを見ない。 書き写すのではだめです。全文を自分だけの力で書く、という認識で書きましょう。
繰り返しになりますが、あなたは英語が話せるようになりたいはずです。学校のテストでいい点を取ることが目的ではありません。全文を自分の力だけで言えなければ意味がありません。

以上のようなやり方は体力が要りますし、集中力が要ります。だからこそ、身につきますし、効率的なのです。我々が学校で当たり前のようにやらされてきた、うわべの勉強のし方に比べると、圧倒的な時間の節約になります。一回の学習が濃い分、時間の節約になるんですね。

2. 構文暗記は決してしない

文法の学習と同じことだと思いますが、構文についても同じことです。構文を暗記してはだめです。私は高校生のとき構文を暗記させられました。私が見てきた生徒さんの中にも構文をたくさん暗記されている方がたくさんいらっしゃいました。彼らはそれらの構文を使いこなせていたかと言うと、全くだめでした。私もその例外ではありません。今、私の中に暗記している構文は一切ありません。構文暗記は学校の英語のテストでいい点を取るためだけのものです。記憶した構文に当てはめて、正しい単語を選んだり、間違いを正したり。それは出来るでしょう。 しかし、会話の中でそんなことはやっていられません。

記憶した構文に当てはめて、単語を入れ替え話そうとすると、その度ごとに今話している内容とは全く関係ない構文を頭に思い浮かべ、単語を入れ替える作業をしなければなりません。時間がかかり聞き手はそんなに待ってくれませんし、あなた自身も時間のプレッシャーを感じるだけです。ましてや聞くときにはほとんど役にも立ちません。相手の言ったことがどの構文に当てはまるのか判断しているうちに、相手はもう先のことを話しています。あなたが構文を考えている間に、もうとっくに他のことが話されています。書かれたものを読むのとは大違いで、会話においてはその瞬間瞬間が勝負であり、後戻りは出来ません。
英語には我々が構文と読んでいる特殊な文構造が確かにたくさんあります。もちろんそれらを無視しては英語は話せません。ではどうするか。繰り返しになりますが、練習して自分の一部になるように修得してください。 具体的には次のようにやります。

  1. まず文法のテキストなどで理解する。
  2. 気持ちをこめて言ってみる。
  3. 自分の分かる範囲の簡単な例文を作り言ってみる。
  4. リスニング教材などでいろんな文構造に出会うはずですから、そのときもその文構造を使いこなすつもりで気持ちをこめてリピートする。

これしかありません。

例えば; want someone to do, ask someone to do, tell someone to do
などの基本的文構造にしても、理解するのは比較的優しいですが、使いこなすとなると話は違ってきます。また、そこにlet などの動詞も含まれてくると、さらに困難になります。
let someone to do とはならずに、let someone do と “to” が不要になってくるからです。どれほど多くの方がこれらの構造を混同し、同じ間違いを繰り返すことでしょう。かつての私もそうでした。

そこで私がしたことは、

正しく言わないと気持ち悪く感じる自分を作り上げる

です。

単に理解しているだけだと、この構造を使う度に、頭の中で“letの場合はtoを入れないから・・えっと”と考える時間が必要になり、決してスムーズには話せません
何度も何度も正しい言葉の連続を口にして、正しい言葉の連続が自然で、そうでないと、どことなく不自然な感じがする自分を育てるんですね。
let him do, let her do, let them do, let us do, let John do, let Nancy do,
思いつくままに言ってみました。そうしたら、もう少し、具体的な動詞を使って、

let him go, let her have, let you speak up, let them eat, let us play, let Bob take, let Nancy get,…

などです。1分あれば相当言えます。

そして、余裕があれば、少し簡単な文を自分で組み立てて口にします。ブツブツつぶやくようなやり方でも構いません。

  • My wife doesn’t let me go drinking.
  • I’ll let my daughter take a trip alone.
  • He didn’t let us speak.

など、自分に身近な内容で気持ちの入れやすい、簡単な短い文を作って呟いてください。言葉を自分の一部のようにして行くつもりで、必ず気持ちを込めましょう。自分のまだ白い英語のキャンバスに塗りこんでいくようなつもりで大切に口にしてください。それでも今すぐに、自由に使いこなせるようにはならないでしょう。それでいいんです。この構造は今後手を変え品を変え、あなたが英語に触れていく中で何度も出てきます。その度ごとにきちんと聞き取り気持ちをこめてリピートすることです。他の全ての構文も同様です。そうすれば、全体に少しずつ、あなたの体に浸み込んでいきます。完全に浸み込んだとき、あなたはそれを自由に使いこなせるでしょう。そしてそのとき他のたくさんの構文も一緒に浸み込んでいるはずですから、あなたは本物の English Speaker となっているでしょう。